灌仏会・花まつり

灌仏会(かんぶつえ)とは
灌仏会は
お釈迦様の誕生を祝う仏教行事です
主に灌仏会(かんぶつえ)と呼ばれています
仏生会(ぶっしょうえ)
浴仏会(よくぶつえ)
龍華会(りゅうげえ)
花会式(はなえしき)などとも呼ばれます
明治時代から
花まつりとも呼ばれるようになりました
お釈迦様の誕生日について
お釈迦様は
2000年以上前に実在された方です
それは経典などの資料や遺跡などが
示しています
しかし お釈迦様の誕生日を
正確に記した資料は残されていません
そのため
お釈迦様の誕生した年月は 仏教徒の間でも 研究者の間でも分かれています
スリランカ ミャンマー タイなどに伝わる小乗仏教(上座部仏教・南伝仏教)では お釈迦様の誕生・悟り・入滅が 同じ月の同じ日に起こったと信じられています
そのため 誕生・悟り・入滅を合わせ
お釈迦様を記念し祭る
ウェーサーカ祭りが行われています
中国や日本に伝わる大乗仏教(北伝仏教)では、三大法会または三仏忌で
分けて法会を開きます
お生れになった事: 灌仏会
悟られた事 : 成道会
入滅された事: 涅槃会
日本の多くの寺院では
4月8日に 灌仏会を行っています
日本の灌仏会
日本では
推古天皇14(西暦606)年
太陰太陽暦(旧暦)の
4月8日に日本初の灌仏会が行われました
日本書紀には
その時の様子が記述されています
これ以来、日本の多くの寺院で
太陰太陽暦(旧暦)の4月8日に
灌仏会が行われてきました
明治6(西暦1873)年に
日本は太陽暦(新暦)を採用しました
これを受け、多くの寺院は
太陽暦の4月8日に
灌仏会を行うようになりました
少数派になりますが
今でも 太陰太陽暦(旧暦)の
4月8日(または新暦の5月8日)に
灌仏会を行っている寺院もあります
また ウェーサーカ祭りを行っている
日本の寺院もあります

お釈迦様の誕生について
ここで お釈迦様の誕生にまつわる伝説をご紹介します
お釈迦様の誕生には
以下のような話が語り継がれています
およそ2500年前
インドの北、現在のネパールに
釈迦族の国がありました
国王は
スッドーダナ(浄飯Śuddhodana)王といい
お妃はマヤ(摩耶Māyā)夫人と言いました
マヤ夫人は若くして嫁がれましたが
永く子供に恵まれませんでした
結婚して20幾年が経ったある夜
マヤ夫人は次のような夢を見ました
神さまに導かれ
夫人は空を昇っていました
心地の良い広い草原に降り立ち
休むため横になりました
しばらくすると白い象が現れます
白象は蓮の花を鼻に持っていたとも
六本の牙を持っていたとも言われています
ぼんやり 婦人がその白象を眺めていると
ス~ッと白象が夫人の右脇に入りました
ハッとして夫人は目を覚まします
そして 気づきました
新しい命が
我が身に宿っていることに・・・。
王様に告げると
王様はたいへん喜ばれました
臨月を迎えた麻耶夫人は 出産に備え
故郷のデーワダハ (Devadaha)に
帰ることにしました
その道中
色んな花々が咲いている
ルンビニ(Lumbini藍眦尼)に差し掛かり
休息をとることにしました
夫人は 花を咲かせている無憂樹(または沙羅の樹)の木を見つけました
あまりに見事なので ひと枝取ろうと
右手を上げてつかんだ時
右脇が輝きはじめました
そして
輝く右脇から お釈迦様が生まれました
このため無憂樹(むうじゅ)は
仏教三大聖樹に数えられます
無憂樹(むうじゅ)
阿輪迦の木
釈尊が生まれた所にあった木
印度菩提樹(いんどぼだいじゅ)
天竺菩提樹
釈尊が悟りを開いた所にあった木
沙羅の樹(さらのき)
沙羅双樹
釈尊が亡くなった所にあった木
誕生偈(たんじょうげ)
生まれたばかりのお釈迦様は
東西南北に七歩 歩まれ
右手で天を 左手で地を指し
天上天下 唯我独尊 と詠まれた・・
と伝わっています。
この四方七歩の宣言を
誕生偈(たんじょうげ)と言います
誕生偈は経典によって少し異なります
初期仏教の経典『長阿含経』では
天上天下 唯我為尊
要度衆生 生老病死
(ようどしゅじょうしょうろうびょうし )
漢訳仏伝の代表『修行本起経』上では
天上天下 唯我為尊
三界皆苦 吾当安之
(さんがいかいく がとうあんし)
西晋の竺法護訳
『普曜経(方等本起経)』では
我当救度 天上天下 為天人尊
断生死苦 三界無上 使一切衆生 無為常安
上記のように
誕生偈は幾つか種類がありますが
お釈迦さまの尊さを語っている点で
共通しています
誕生偈の解釈も 幾つかあります
大まかにまとめると
以下のような解釈です
◯私(または私達)は この人生で
仏道に合い 修行し解脱する
地獄道、餓鬼道、畜生道、阿修羅道、人間道、天道という世界を輪廻転生する
六道輪廻の輪から離れるので
私(または私達)は尊い
◯「七歩 歩いた」ことの意味
六道の輪から一歩踏み出すことを意味する
つまり解脱することを意味している
◯人々の苦しみを救うために誕生した
だから尊い
他にも様々な解釈があります
関心がある方は各自で調べてみてください
甘露(かんろ)の雨
誕生偈は天に住む龍の元まで届き
天の龍はとても感激しました
九匹の龍が
お釈迦様たちの頭上に姿を表し
甘露の雨を降り注がせたと言われています

花御堂(はなみどう)
誕生仏(たんじょうぶつ)
この故事に習い、灌仏会(花まつり)では花御堂(はなみどう)という
小さなお堂を設置し 花々で飾ります
花々はルンビニの花々を表しています
花御堂の中には 誕生されたお釈迦様を表した立像:誕生仏を安置します
参拝者は 誕生仏に甘茶(または香水)をそそいで、誕生を祝います
甘茶(または香水)は
龍が降らせた甘露の雨を表しています
灌仏会の「灌」という漢字は
水をつぎこむ・流し入れる・そそぎかける という意味です
灌仏会とは 文字通り
誕生仏に 甘茶を注ぎかける法会
という意味です
他にも 白い像をまつったり
稚児行列を行う寺院もあります
甘茶(あまちゃ)
甘露の水を表すモノとして
“五色水”と呼ばれる香水が使われていました
江戸時代から
甘茶が使われるようになりました
甘茶には
山紫陽花(ヤマアジサイ)の変種である小甘茶(こあまちゃ)が使用されます
葉は苦いのですが
乾燥させると甘みが出ます
その甘さは、ショ糖(砂糖の主成分)の
400倍以上
なので
砂糖がない時代には
甘味として重宝されていました。
甘茶は 乾燥させた葉を
煮出して作るのですが
濃すぎる甘茶は中毒を起こします
そのため、煮出す場合は「甘茶葉2~3gにつき水1リットル」とするよう 厚生労働省は注意喚起しています 厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル
甘茶の御利益
甘茶には 色々な信仰があります
以下はその一例です。
・甘茶で 赤ちゃんの頭を撫でると
赤ちゃんが丈夫に育つ
・甘茶で墨をすり習字すると
書道が上達する
・千早振る卯月八日は吉日よ
神下げ虫を成敗ぞする
と甘茶の墨で書き逆にして貼ると
虫除けになる
灌仏会(花まつり)の参加
灌仏会では お寺によりますが、
参詣者に甘茶が振る舞われたり
僧侶による法話が行われたりします。
法話で お釈迦様の教えを聴くと
より身近に感じることが出来るでしょう
お寺に行くのは
お墓参りや法事だけという人が多いのですが お寺はお釈迦様の教えに触れる場所でもあります。仏教は生きる為の教えです
お釈迦様の教えに触れる機会として
灌仏会(花まつり)へ
参加してみては如何でしょう
灌仏会には
檀家寺またはご近所のお寺や
気になるお寺に
ぜひ立ち寄ってください
細かい作法はお寺によって違います
なので 作法については
周りの方を見習えばよいと思います
心配な方は
お寺に直接聞いてみてください
明石の禅寺 大蔵院
大蔵院では
毎年 新暦の5月8日に
灌仏会(花まつり)を行っています
本堂に花御堂を飾り
参拝者に甘茶を配ります
皆さまと共に般若心経などお経を唱え
お釈迦様の誕生を祝います
関心ある方を歓迎していま。
お一人様はもちろん
友人知人 お子さんやお孫さんと一緒など
どうぞ お気軽にご参拝ください
開催の有無・時間などは 正式に決まり次第 当サイトのお知らせにて公表します

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