龍吟雲起 虎嘯風生 (龍吟虎嘯)
りゅう ぎんずれば くも おこり
龍吟 雲起
とら うそぶけば かぜ しょうず
虎嘯 風生
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龍吟ずれば雲起こる
龍が雲を呼ぶように、英雄が一たび立てば衆士がこれに従う。
同類が相応じ従うことのたとえ。
[初出の実例]
「れうきんすれば、くもおこり、とらうそむけば、かぜさわぐ。
かかるためしあるにより、
武蔵坊弁慶が、ゐたる所に、いさかひのなき、ことはなし」
(出典:御伽草子・弁慶物語(室町時代小説集所収)(室町末))
[その他の文献]〔王褒‐聖主得賢臣頌〕
出典 精選版 日本国語大辞典
虎嘯けば風生ず
時勢の変化に乗じて、英雄が活発に活動を始めることのたとえ。
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[由来] 「北史―張定和伝・論」の一節から。
「虎嘯きて風生じ、竜騰のぼりて雲起こる。
英雄の奮発も、亦また各々時に因る
(虎が吠えるときには風が吹き、竜が飛び立つときには雲が湧き出る。
英雄の出現も、風や雲のような時勢があって可能になるのだ)」
とあります。
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出典 故事成語を知る辞典
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龍吟雲起 虎嘯風生 (龍吟虎嘯)は
禅語の一つです
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昭和の時代の臨済宗妙心寺派の管長
山田無文老師は 以下のように、説明されています
龍が空で高く吟ずると雲が起こり、
《原典・碧巌録/引用・山田無文著『無文全集』第四巻「碧巌録」(禅文化研究所)より
霧が起こって来る。
力量のある大人がものを言えば、
この無心な自然界も自ずから
それに沿って動いて来る。
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虎が嘯けば自然に風が生じて来る。
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龍と虎、
動物の中でもっともすぐれたものと、
昔から中国では言われておるのである。
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一たび龍が吟ずれば霧が起こり、
虎がウーッと嘯くと風が生ずる。
自然界が自ずと動くような力があるのが、
悟りの開けた
大人物の在り方でなければならん。
同じく昭和の時代の臨済宗南禅寺派管長
柴山全慶老師は 以下のように説明されています
龍虎の凄まじき勢。
柴山全慶 禅林句集より
禅僧のはたらきのすぐれたるに喩う。
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龍吟雲起 虎嘯風生 (龍吟虎嘯)の
由来
由来とされているのは 以下の漢文です
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『周易』の一節
雲は龍に従い、風は虎に従う。
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『周易』疏の一節
龍は是れ水畜、雲は水の気。
故に龍吟ずれば則ち景雲出ず。
虎は是れ威猛の獣、風は是れ震動の気、
故に虎嘯けば則ち谷風生ず
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「北史―張定和伝・論」の一節。
虎嘯きて風生じ、龍騰りて雲起こる。
英雄の奮発も、亦た各々時に因る
りょうぎん こしょう
龍吟 虎嘯
四字熟語にもなっています
同じ考えや心をもった者は、
出典 三省堂 新明解四字熟語辞典
相手の言動に気持ちが通じ合い、
互いに相応じ合うということ。
また、
人の歌声や笛・琴の音などが、
あたかも竜やとらのさけび声が
天空にとどろき渡るように
響くことをいう。
▽
「吟」は 鳴き声をあげる、
「嘯」は ほえること。
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竜が声をあげれば雲がわき起こり、
とらがうなれば風が生ずるといわれる。
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「竜りょう吟ぎんじ虎とら嘯うそぶく」と
訓読する。
「竜」は「りゅう」とも読む。
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『文選もんぜん』張衡ちょうこう
「帰田賦きでんのふ」
龍吟雲起 虎嘯風生 (龍吟虎嘯)の
襖絵
藤井 湧泉(ふじい ゆうせん)画伯
平成末 明石にある禅寺 大蔵院では
本堂を建て替えることになりました
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建て替えにあたり
大蔵院 18代住職 櫻木徳宗 和尚は
藤井湧泉 画伯に 襖絵を依頼しました
藤井湧泉 画伯は
「龍吟雲起 虎嘯風生」を表題にした
襖絵を制作されました
大蔵院の新本堂には
この時に描かれた襖絵が
飾られています
龍吟雲起の図
藤井湧泉 画伯 略歴
1964年
中華人民共和国江蘇省啓東市に誕生
(中国名:黄稚)
1984年
蘇州大学藝術学院を卒業
1985年
北京服装学院講師に採用される
1992年
来日 京都に移住
1993年
京都市立芸術大学大学院に留学
1994年
日本人女性と結婚
2012年
哲学者梅原猛より
「湧泉」の雅号を授かる
(日本名:藤井湧泉)
虎嘯風生の図
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= 代表作 =
2004年
永徳寺 雲龍図屏風
2008年
一休寺 虎絵衝立
2009年
西大寺 佛画
2010年
高台寺 圓徳院 蓮独鯉襖絵
2012年
金閣寺 葡萄絵衝立
2012年
相国寺 野葡萄二曲屏風
2017年
相国寺 林光院 障壁画/襖絵80面
2019年
高台寺 妖女赤夜行進図
2020年
見江山 大蔵院(明石)雲龍嘯虎襖絵
製作中の藤井湧泉 画伯
雲龍嘯虎襖絵 (大蔵院)デッサン
藤井湧泉先生と大蔵院18代住職 櫻木徳宗和尚
於 2021年 大蔵院
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