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大悲呪 現代語訳

大悲呪 大蔵院チャンネル



正式には
大悲円満無礙神咒
だいひえんもんぶかいじんしゅ
と言いますが

大悲心陀羅尼だいひしんだらに
または
大悲呪だいひしゅ
と呼ぶこともあります


千手観世音を賛える経典
千手千眼観自在菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経から
三十二の句を取り出し
一つの独立した陀羅尼(お経)としています


国宝 千手観音像 
出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)




ひらがな:臨済宗の読み方
漢文
サンスクリット語のローマ字表示
日本語 意訳





だいひ えんもん ぶかい じんしゅ

大悲 円満 無礙 神咒

Maha Karunika Citta Dharani





なむ からたんの とらやや
南無 喝囉怛那 哆羅夜耶
Namo Ratna Trayaya
(仏法僧の)三つの宝に帰依します


なむ おりや ぼりょきち しふらや
南無 阿唎耶 婆盧羯帝 爍鉗囉耶
Nama Aryavalokitesvaraya
聖なるアヴァローキテーシュヴァラ
(観自在菩薩)に帰依します


ふじさとぼや もこさとぼや
菩提薩埵婆耶 摩訶薩埵婆耶
Bodhi sattvaya Maha Sattvaya
求道者(菩薩)すぐれた人( 摩訶薩


もこ きゃるにきゃや
摩訶 迦盧尼迦耶
Maha Karunikaya
偉大な 慈悲の心を持つ者よ


えん

Om!
(聖音)


さは らはえい しゅたの とんしゃ
薩皤 囉罰曳 數怛那 怛寫
Sarva Rabhaye Shudhanadasya
一切の恐怖から 庇(かば)い 守る者よ


なむし きりと
南無悉 吉利埵
Namas Krtva
彼に帰依した後


いも おりやぼりょきちしふら りとぼ
伊蒙 阿唎耶婆盧吉帝室佛囉 楞馱婆
imam Aryavalokitesvara Ramdhava
この聖アヴァローキテーシュヴァラ
(観自在菩薩)の真実の相である


なむ のらきじ
南無 那囉謹墀
Namo Narakindi
ニーラカンタ(シヴァ神の異名、青頸観音)
に帰依して


きり もこほどしゃみ
醯唎 摩訶皤哷沙咩
Hrih!! Mahavadhasame
本質《心》を 声にして 読みあげよう


さぼおとじ
薩婆阿他豆
Sarva Athadu
一切の 望ましきを 叶えさせ


しゅべん
輸朋
Shubhum
吉祥


おしゅいん さぼさとのも
阿遊孕 薩婆薩哷那摩
Ajeyam Sarva Satya Nama
全ての悪鬼・鬼神が 打ち勝ち 難く


ぼぎゃもはてちょ
婆伽摩罰特豆
Vasatya Namo Vaka, Marga Dhatuh
迷いの生存の世界を
浄化させる(本質《心》よ)


とじと
怛姪他
Tadyatha:
すなわち


えん

Om!
(聖音)


おぼりょきい りょぎゃちい きゃらちい
阿婆盧醯 盧迦帝 迦羅帝
Avaloki Lokate Krante
光明よ 世界を超越したものよ


い きり
夷 醯唎
E Hrih
おぉ ハリよ
ヴィシュヌ神の異名、観自在菩薩)


もこ ふじさと
摩訶 菩提薩埵
Maha Bodhisattva
偉大なる 求道者(菩薩)よ


さぼ さぼ
薩婆 薩婆
Sarva Sarva
求道者よ 求道者よ


もら もら もきもき りといん
摩囉 摩囉 摩醯摩醯 唎馱孕
Mala Mala Mahima Hrdayam
憶念せよ 憶念せよ 偉大な 本質《心》を


くりょ くりょ けも
俱盧 俱盧 羯蒙
Kuru Kuru Karman
為せ 為せ (本質《心》を 憶念する)行為を


とりょ とりょ
度盧 度盧
Dhuru Dhuru
保持せよ 保持せよ(本質《心》を)


ほじゃやちい
罰闍耶帝
Vijayate
勝利者よ


 もこ ほじゃやちい
 摩訶 罰闍耶帝
Maha Vijayate
偉大なる 勝利者よ


とら とら
陀囉 陀囉
Dhara Dhara
保持せよ 保持せよ


ちりに しふらや
地利尼 室佛囉耶
Dhi-rinis-varaya
最も勝れた大地の主よ


しゃろ しゃろ
遮囉 遮囉
Cala Cala
動き給え 動き給え


もも はもら
摩摩 罰摩囉
Mama Vimala
汚れ無き者よ


ほちり
穆帝隸
Muktele
汚れなき身体を持つ者よ


ゆき ゆき しの しの
伊醯 伊醯 室那 室那
Ehi Ehi Sina Sina
来たれ 来たれ 世界の自在神


おらさん ふらしゃり はざはざ ふらしゃや
阿囉參 佛囉舍利 罰沙罰參 佛囉舍耶
Arsam Pracali Visa Visam Prasaya
貪瞋痴(三毒)の毒害を滅せよ


くりょ くりょ
呼盧 呼盧
Hulu Hulu
運び去れ 運び去れ


もら
摩囉
Mara
汚れを


くりょ くりょ
呼盧 呼盧
Hulu Hulu
運び去れ 運び去れ


きり
醯利
Hrih
ハリよ
ヴィシュヌ神:観自在菩薩)


しゃろ しゃろ
娑囉 娑囉 
Sara Sara
流れ出よ 流れ出よ


しり しり
悉利 悉利
Sri Sri
現れ出よ 現れ出よ


すりょ すりょ
蘇嚧 蘇嚧
Suru Suru
進み出よ 進み出よ


ふじや ふじや
菩提夜 菩提夜
Boddhiya Boddhiya
悟り給え 悟り給え


ふどや ふどや
菩馱夜 菩馱夜
Bodhaya Bodhaya
悟らせ給え 悟らせ給え


みちりや
彌帝唎夜
Maitriya
慈悲深き者よ


のらきんじ
那囉謹墀
Narakindi
ニーラカンタ(シヴァ神の異名 青頸観音)よ


ちりしゅにの ほやもの
地利瑟尼那 婆夜摩那
Dharsinina Bhayamana
見ることを欲する人に対し
見ることを歓喜させる者よ


そもこ
娑婆訶
Svaha
スヴァーハー(真言の感動詞)


しどや
悉陀夜
Siddhaya
成就者よ


そもこ
娑婆訶
Svaha
スヴァーハー(真言の感動詞)


もこ しどや
摩訶 悉陀夜
Maha Siddhaya
偉大なる 成就者よ


そもこ
娑婆訶
Svaha
スヴァーハー(真言の感動詞)


しどゆき しふらや
悉陀喻藝 室皤囉夜
Siddhayoge svaraya
(願いを)成就した
ヨガの修法に自在なる神よ


そもこ
娑婆訶
Svaha
スヴァーハー(真言の感動詞)


のらきんじ
那囉謹墀
Narakindi
ニーラカンタ(シヴァ神の異名 青頸観音)よ



そもこ
娑婆訶
Svaha
スヴァーハー(真言の感動詞)


もらのら
摩囉那囉
maraṇara
意の如く 堅固な者よ


そもこ
娑婆訶
Svaha
スヴァーハー(真言の感動詩)


しらすん おもぎゃや
悉囉僧 阿穆佉耶
Sira Simha Mukhaya
獅子の顔を持つ者よ


そもこ
娑婆訶
Svaha
スヴァーハー(真言の感動詞)


そぼ もこ しどや
娑婆 摩訶 悉陀夜
Sarva Maha Asiddhaya
一切の 偉大なる成就者よ


そもこ
娑婆訶
Svaha
スヴァーハー(真言の感動詞)


しゃきら おしどや
者吉囉阿悉陀夜
Cakra Assidhaya
チャクラ(武器)で戦える者よ


そもこ
娑婆訶
Svaha
スヴァーハー(真言の感動詞)


ほども ぎゃしどや
波陀摩 羯悉陀夜
padma-kastāya
蓮の花を手にする者よ


そもこ
娑婆訶
Svaha
スヴァーハー(真言の感動詞)


のらきんじ はぎゃらや
那囉謹墀 皤伽囉耶
Narakindi Vagalaya
ニーラカンタ(シヴァ神の異名 青頸観音)
虎の皮を身につける者よ


そもこ
娑婆訶
Svaha
スヴァーハー(真言の感動詞)


もほりしんぎゃらや 
摩婆 唎勝羯夜
mavari savkharaya
真実の勇気をもつ 最も優れた心に


そもこ
娑婆訶
Svaha
スヴァーハー(真言の感動詞)


なむ からたんの とらやや
南無 喝囉怛那 哆羅夜耶
Namo Ratna Trayaya
三つの宝(仏法僧)に 帰依します


なむ おりや ぼりょきち しふらや
南無 阿唎耶 婆盧羯帝 爍鉗囉耶
Nama Aryavalokitesvaraya
聖なるアヴァローキテーシュヴァラ
(観自在菩薩)に帰依します


そもこ
娑婆訶
Svaha
スヴァーハー(真言の感動詞)


してど もどら ほどや
悉殿都 漫哆囉 跋陀耶
Siddhyantu Mantra Padaya
成就せよ 真言の 諸々の言葉よ


そもこ
娑婆訶
Svaha
スヴァーハー(真言の感動詞)




参考文献

『禅宗の陀羅尼』
木村俊彦、竹中智泰 (著)

『ナムカラタンノーの世界―『千手経』と「大悲呪」の研究』
野口 善敬 (著)

・台湾のサイト

.
.
.

大悲咒の歴史

大悲呪は
現在の形式になるまで
いくつか変遷がありました

大悲呪の歴史について
少し触れます

大乗仏教では
観音様という菩薩は
いろいろな姿になって
衆生を導くとされていることから

インドの神様 シヴァ
観音様が変化した姿の一つと捉えました

つまり
仏教的には
シヴァ神は青頸観音(青い首の観音)
であるとしたようです

大悲呪に度々出てくる
ニーラカンタとは
シヴァ神の別名です
.
また シヴァ神は
ヴィシュヌという神様と合体した
ハリハラという合体神でもあるため

大悲咒の中に
ニーラカンタや
ハリ(ハリハラ)という名が
度々でてきます


大悲咒を
青頸陀羅尼
Nīlakaṇṭha Dhāraṇī
ニーラカンタ・ダラニ
と呼ぶことがありますが

その理由は
上記の通りです




形式の変遷
インドの仏教学者
Lokesh Chandra博士は

大悲呪の 当初の形式は
「観音菩薩が陀羅尼を説く」モノであったが

ニーラカンタ(ハリハラ)が
観音菩薩と習合されるにつれ
「青頸観音について説くもの」へと変化

さらに
同じ変化観音の一つである
千手観音の経に導入され
現在に至っている
と説いています


臨済宗と大悲呪

テレビアニメ 一休さん
(1975年~1982年 放映)は
室町時代に実在した臨済宗の禅僧
一休宗純
子供時代を題材にしたアニメです
.
アニメの一休さんは 時折
「なむからたん」「なむからたん」と
唱えていました
.
「なむからたん」は 
ナムカラタンノートラヤーヤーのこと
大悲呪の冒頭です
.
臨済宗の僧侶は
今も昔も
大悲呪を
よく詠んでいます



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