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卻瘟神呪 現代語訳


ぎゃくおんじんしゅ

卻瘟神呪

卻瘟神呪は「 佛説卻温黄神咒經 」という経典に記されている
疫病を封じるための神呪(陀羅尼)です

佛説 卻温黄神咒經

「 佛説卻温黄神咒經 」には 
以下のような記述があります


マガダ国の首都ラージャグリハRājagṛha(王舎城)の竹林にある精舎
お釈迦様が 説法をされていた時

ヴァイシャーリーVaiśālī(維耶離)国
疫病が 大流行した

疫病は 燃え盛る大火事のようで

亡くなる人は 数え切れず
逃げ場も 治療するすべも 無かった

十大弟子の一人
アーナンダĀnanda (阿難)尊者は
お釈迦様に訪ねた

人々を救うには 疫病を封じるには
どうすればよいですか?と
 
その時 お釈迦様は
アーナンダĀnanda (阿難)尊に
以下の神呪を伝えました

仏法僧に帰依しなさい
強い信仰心・気持ちがあってこそ
はじめて効力が生じます

疫病の原因(鬼)の名を読み上げ
去るように
留まらないように
唱えなさい

そうすれば
疫病の原因(鬼)は去り
疫病も治るだろう

卻瘟神呪の印刷物

大蔵院の 卻瘟神呪の札

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ひらがな:臨済宗の読み方
漢文
現代語訳
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ぎゃくおん じんしゅ
卻瘟 神呪

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なむ ふどや
南無 仏陀耶
仏に 帰依します


なむ だもや
南無 達磨耶
法に 帰依します


なむ すんぎゃや
南無 僧伽耶
僧に 帰依します


なむ じほうしぶ
南無 十方諸仏
あらゆる世界の諸々の
真理を悟った人々に 帰依します


なむ しぶさもこさ
南無 諸菩薩摩訶薩
諸々の求道者・偉大な人に
帰依します


なむ ししんす
南無 諸聖僧
諸々の聖なる僧に
帰依します


なむ しゅし
南無 呪師
呪師に
帰依します


さらぎゃ
沙羅佉
サラハ:呪師の名
( 去りたまえ )


さらぎゃ
沙羅佉
サラハ:呪師の名
( 去りたまえ )


さらぎゃ
沙羅佉
サラハ:呪師の名
( 去りたまえ )


むとなんき
夢多難鬼
七鬼の女夜叉の名


あぎゃにき
阿佉尼鬼
七鬼の女夜叉の名


にぎゃしき
尼佉戸鬼
七鬼の女夜叉の名


あぎゃなき
阿佉那鬼

七鬼の女夜叉の名


はらにき
波羅尼鬼
七鬼の女夜叉の名


あびらき
阿毘羅鬼
七鬼の女夜叉の名


はだいりき
波提犂鬼
七鬼の女夜叉の名


しっこ
疾去
去り給え


しっこ
疾去
去り給え


まくとくくじゅう
莫徳久住
長く留まることなかれ
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意訳参考 禅宗の陀羅尼(大東出版社)

禅宗の陀羅尼(大東出版社)には
「呪師 サラハ」及び「女夜叉」について 以下のような説明があります

「呪師 サラハ」とは
10世紀頃の東インドの有名な密教の阿闍梨で
ドーハー(doha 二行詩)などの密歌を
大量に作ったという人物である筈だ・・と


夢多難鬼(むとなんき)
阿佉尼鬼(あぎゃにき)
・・・と続く
「七鬼の女夜叉」とは
理趣経に出ている 女夜叉であり
大黒天の眷属・侍女だと指摘されています


禅宗と卻瘟神呪

卻瘟神呪は
疫病をさせるための神呪とされてきました
臨済宗においても 同じです

禅寺では
僧侶が生活する建物である庫裡(くり)
韋駄天様を祀り
毎朝 朝課の直後に 韋駄天様にお経を唱えます
(これを韋駄天諷経と言います)
この際 卻瘟神呪を読む寺院もあります 
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大蔵院 と 卻瘟神呪


平成末から令和にかけて
明石の禅寺 大蔵院では
本堂を再建する工事が行われました

その際
寺の奥で 木版が見つかりました

よく見ると
「安政六年」という文字が書いています
他にも なにやら文字が彫ってあります

後日 よくよく調べてみると
卻瘟神呪の版木だと分かりました

この版木の背景には
幕末のコレラの流行がありました

幕末、長崎に入った外国船から
コレラが日本に上陸

疫病は 長崎から江戸まで流行し
大勢の方が亡くなりました

安政箇労痢流行記によると
江戸だけで数万人が亡くなったと
記されています

100年以上前に 感染症の知識など無く
不確かな情報・流言も 流れたでしょう

当時の人々の不安は 想像すら出来ません

人々は 疫病退散の加持祈禱し
戸口に お札を貼ったと言われています

瀬戸内海・西国街道に面する明石にも
コレラの影響は 及びました

安政六(西暦1859)年
当時の大蔵院住職は
卻瘟神呪の版木を製作

「疫病退散の札」を配ることで
人々を不安を払ったものと推測されます


時が経つうちに
版木の存在は 忘れられました

再び発見されたのは
平成が終わり、令和が始まった時
じつに
150年以上が経っていました

発見されたのが
コレラならぬ
コロナの流行時であったことに
何かしらの因縁を 感じます

このことは
神戸新聞に取り上げて頂き
記事になりました 
 

新聞


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